2013年10月23日

機関誌を創刊しました

日本フランス語圏文学研究会の機関誌、Archipels Francophones が本日創刊されました。
巻頭の研究会発足の辞を転載します。


日本フランス語圏文学研究会の設立記念会合が、2013年10月26日(土)午前10時より、日本フランス語フランス文学会の秋季大会会場、別府大学(別府キャンパス)で開催されます。

文学に限らずフランス語圏地域に関心のある方ならどなたでも歓迎。是非、当日の研究会場を覗いてみてください。

本研究会の発足メンバーは、どちらかと言えば、長年、マルチニクの作家エドゥアール・グリッサンを一緒に読んできた者たちが中心です。しかしながら、フランス語圏はカリブ海域に限定されるはずもなく、アフリカやケベックなどの研究の重要性が高まっています。且つまた、どの地域、どの作家を研究するにせよ、近年の世界情勢の急激な変化によって、広い視野に立った調査・研究が要請されています。

たとえば、最近注目された研究として、Pierre BouvierのAimé Césaire et Frantz Fanon, Portraits de décolonisés (2010年)や Romuald FonkouaのAimé Césaire 1913-2008 (2010年)があげられるでしょう。これらの研究に共通しているのは、分かりやすく言えば、アフリカとアメリカス、ヨーロッパを横断する広い時空にファノンとセゼールを位置づけていることです。

ファノンであればアルジェリア独立戦争への関与ばかりでなく、セゼールやネグリチュードとの関係の中で、その思想的・教養的基盤を再検討し、エメ・セゼールであれば、詩、演劇、散文(評論)、政治の緊密な相関性や、アフリカとの双方向的な関わりを再考察することであり、特定の地域や時代に限定されがちな従来の研究とは異なる、より開かれた視点が導入されています。

ポストコロニアル研究においては、従来ファノンにしてもセゼールにしても抽象度の高い思想的な点検が優先され、それぞれが置かれた具体的な状況や文化的・歴史的背景が軽んじられる傾向がなきにしもあらずでしたが、最近は思想と状況の具体的・個別的相関に分け入り、これまで見過ごされていた側面を解明する機運が高まっています。

いうまでもなく、以上はとりあえず挙げてみた例にすぎず、他にいくらでも研究対象・テーマがあるわけですが、ともかく、ファノンやセゼールを軸とした50年代・60年代の研究にしても大陸を越えた国際的研究交流が一段と活発になり、より横断的になっています。ようするに、フランス語圏の文学・思想・地域研究は新たな次元を迎えているのです。

本研究会設立の趣旨は、各人が自分の研究テーマを探究しつつも、フランス語圏地域の研究動向について広く情報交換できるような相互的な場を提供することです。是非とも、当研究会に多くの方が参加し、多元的で、脱中心的な研究と情報交換の場が生れることを願ってやみません。

日本フランス語圏文学研究会会長 立花英裕(早稲田大学)
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